コールドウォレットの評価軸は秘密鍵の保護だけでなく、署名内容を理解できるかへ広がっている。ERC-7730によるクリアサイニングの仕組みと、Ledgerの画面確認、ELLIPAL X CardのNFC運用を比較し、残る誤署名リスクへの対策を整理する。
コールドウォレットは秘密鍵をオンライン端末から隔離できても、利用者が悪意ある取引に署名すれば資産を失い得る。ウォレット業界では、何に署名するのかを人が理解できる形で示す「クリアサイニング」の標準化が進んでいる。
2026年に整備が進んだERC-7730 V2は、スマートコントラクトの呼び出し内容を表示するための共通記述形式だ。ただし、規格が存在するだけで全取引が読みやすくなるわけではない。
表示可能な取引と未対応の取引を分ける
ERC-7730は、関数の意味や送付先、金額などをウォレットが解釈するための情報を定義する。対応ウォレットでも、対象コントラクトや記述情報が未対応なら、内容を十分に確認できない場合がある。表示された説明も無条件に信用せず、取引目的と照合したい。
画面付き端末とNFCカードでは確認場所が違う
Ledgerの対応端末では、Secure Elementが制御する本体画面で署名内容を確認できる。一方、ELLIPAL X Cardは専用Starterでオフライン初期設定し、日常の署名にはNFCとスマートフォンを使う。カード自体に表示画面はないため、取引情報の確認をスマートフォン側に依存する。
接続方式だけで優劣を決めず、利用者がどこで内容を確認できるかを評価すべきだ。
長期保管とDeFi署名を分離する
長期保管用は外部サービスとの接続を抑え、DeFi用は残高と承認範囲に上限を設ける。高額移動では送付先とネットワークを別経路でも照合し、内容が不明な署名は中止する。
導入時には対応チェーンだけでなく、実際に使うdAppで署名内容がどこまで表示されるかを少額で検証する。標準化が進んでも、偽サイト、誤操作、バックアップ漏洩のリスクは残る。

