エアギャップ型ウォレットはQRコードで未署名データと署名結果を交換し、秘密鍵をネット接続端末から隔離します。ただし、QR経由の不正な署名要求や利用者の確認漏れは防げません。通信方式の構造と、個人・法人が導入時に決めるべき確認手順を解説します。
エアギャップ型ハードウェアウォレットは、USBやBluetoothで接続せず、QRコードで署名データを受け渡す。物理的な通信経路を減らせる一方、QRコードを使うだけで不正送金を防げるわけではない。重要なのは、端末が何を受信し、利用者が何を承認するかだ。
QRで移動するのは秘密鍵ではなく署名用データ
ELLIPAL Titan 2.0の公式説明では、スマートフォン側で未署名の取引を作り、QRコードで端末へ渡す。端末内の秘密鍵で署名した後、署名済みデータを別のQRコードでアプリへ返し、ネットワークへ送信する。秘密鍵をスマートフォンへ渡す必要はない。
BitcoinではBIP174のPSBTが、オフライン署名者へ取引情報を渡すための標準形式として利用される。ただし、QRは情報の運搬方法であり、取引内容の正当性を保証する仕組みではない。
オフラインでも悪意ある要求は届く
感染したスマートフォンが送金先や承認対象をすり替えれば、その内容がQRに入る可能性がある。端末画面で送金先、金額、ネットワーク、手数料を照合し、コントラクト操作で意味を確認できない項目は承認しない。フィッシングやシードフレーズ流出も別のリスクとして残る。
署名頻度に応じて確認手順を設計する
長期保管用は接続機会を減らし、日常送金用やDeFi用とは独立した鍵に分ける。法人なら送金依頼者と署名承認者を分離し、事前登録した宛先との照合と少額テストを手順化する。
導入前には、実際の送金画面で何が表示されるかを確認したい。QR署名の価値は通信経路の分離にあり、最終的な安全性は署名内容の検証とバックアップ管理に左右される。

